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 ベッドの上に横たわる私の体をなぞるように、健治の手のひらが蠢く。  そして、胸のふくらみに健治の唇がよせられ、先端を甘嚙みされると、それに反応して身体がビクッと跳ねる。 「ん……んぁっ」    甘い声を上がると健治は楽しむように、熱い手で私の肌に新たな刺激を与える。    たくさんのキスを落とされて、頭の芯から溶かされて、とうとう健治に籠絡されてしまった。  こんなんじゃ、ダメだって分かっているのに。  もっと、怒って、強く言わなきゃって思っていたのに……。    健治に優しくされて、その手を手放したくなくて、結局なし崩し的にベッドで抱き合っている。  自分から健治の手を離すのが怖い。優しくて温かい手を手放せない。  弱くてダメな自分がいる。    肌と肌をすり合せ、お互いの体温を感じて、健治の腕に包まれて、心臓の鼓動を聞いていたい。    健治の背中に手を回し、ギュッと抱きしめた。耳をあてた胸から、心臓の脈動がドクドクと聞こえてくる。  私を求めているのだと思うと、安堵する。  そして、広く厚みのある胸板、心臓の上にキスをした。私の事を心に刻むように……。    衣擦れの音が聞こえて、ベッドに縫い留められる。  健治の手が、優しく私の素肌を撫で上げ、その瞳が私を誘う。  唇にキスを落とされ、その唇が頬から首筋を伝う。そして、耳に熱い息が掛かり、ゾクゾクと背中に電気が走るようで、体が無意識にピクリと跳ねる。  健治の唇が私の襟足に強く吸い付き、チリッと痛みを感じる。ソコにも所有痕を付けられたのだ。
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