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 コーヒーのいい香りで目が覚めた私は、 ゆっくりと起き上がり、辺りを見回した。  見知らぬ部屋、カーテンの隙間から明るい光が漏れ、誰かの鼻歌が聞こえる。  声の主を探すべく、キョロキョロとあたりを見回した途端、ズキッと激しい頭痛に見舞われた。 「イタタッ」 「先輩、大丈夫ですか?」  里美に覗き込まれ、昨日の記憶がよみがえってきた。  はぁー。やっちゃった。    ちらりと里美の様子を窺うと目が合う。  里美は、にっこり微笑んで薬のヒートとペットボトルを渡してくれた。   「はい、薬飲んでくださいね。気持ち悪くないですか? 昨日、だいぶ飲んじゃいましたよね」  何事も無かったかのように、明るく接してくれる里美の気遣いに申し訳なくなってしまう。  いくら、健治の浮気がショックだったと言っても、里美に縋るべきではなかったのだ。  相手が同性とは言え、SEXをしたのだから、私も不貞を働いた事になるのだろうか?  ペットボトルのお水と共に薬を胃の中に流し込み、ホッと息を吐きだした。 「ありがとう。散々迷惑かけてごめんね」 「全然、迷惑なんかじゃないですよ」    昨日は、部屋の様子も見る余裕が無かったけど、キレイに片付いた部屋。シンプルな木目の家具が配置されている。所々にグリーンが配置され、とてもセンスが良く、落ち着く部屋だ。そして、女の子特有の甘い香りがする。
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