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 食事を終えて、点滴を打ってもらいに隣の医院へ入らせてもらう。 お昼休み中の時間帯、待合室や受付は閑散として、お掃除担当の人だけが椅子を拭いたり、片付けをしたりしていた。 「処置室のベッドに座ってて、点滴の準備をしたら直ぐに行くから」  白衣になった三崎君の指示に従って処置室のベッドで待って居ると、カーテンが開く。 「お待たせ、気持ち悪いとかない?トイレ大丈夫?」 「ありがとう、大丈夫」 腕にゴムを巻きつけた後、点滴用の針を注射され、点滴を落とされる。  鉄分補給を助けるビタミンが主な成分の点滴。それにニンニク成分も入っていて、点滴を打たれているのに鼻にニンニクの匂いが広がって不思議というか、ちょっと臭い。 「30分ぐらいは、かかるからココで寝ていていいよ。俺は、医院長先生に美緒さんが来ているの伝えておくから」 「うん、ありがとう」  三崎君は、ベッドのカーテンを閉め、部屋から出て行く。 お昼休みの時間に治療をさせてしまって、申し訳なくなる。  でも、点滴を受けているとはいえ、30分の休息は、生理中の貧血でツライ時に凄く助かる。甘えさせてもらって、午後の仕事に備えて瞼を閉じた。  自分で思っていたよりも弱っていた心と体。健治に優しくされると、別れるのが怖くて流されてしまうダメな自分。 今は、少しの休息でもありがたかった。
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