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「先輩が卒業してからは、ストーカーじみた雰囲気が消えて落ち着いたかと思ったのに、またストーカー復活かぁ、ああ友人Aでインタビューされたくないなぁ」
「復活って元々ストーカーしてないし!」
「じゃあ眠らせずに思い続けてたってこと? あんたの中ではあの頃のことって黒歴史ぐらいになってるんだと思ってた」
言われてみれば、あの頃の自分はちょっと異常めいたところもあったかもしれない。しかし、でも、おそらく、たぶん、杉田先輩自体には迷惑をかけていないと思う。告白は迷惑だったかもしれないけど。
黒歴史、とは思いたくないな、あの頃の自分のためにも。
「誰だって忘れられない思い出ってあるでしょお? それを……黒歴史にするっていうなら、私の脳内の先輩の記憶を全部黒く塗りつぶさないとできない」
「黒く塗るって……戦後の教科書かい!」
真野ちゃんの突っ込みで、中学のとき歴史の授業で習った戦後の教科書の不適切部分がその行ごと黒く塗られていたという資料を思い出した。
「こはくさぁ……まさか今でもスマホで杉田先輩を隠し撮りした写真とか持ってたりする?」
「まさか! 消したよ! いつの話してんの!?」
「1年半前」
「もう1年半経ってるの! いい加減、過去の恋の写真なんて消してるから!」
「それならいいけど」
いや、まだ、消してないけど。
とは言わなかった。
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