運命の印

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♢♢♢  今日も帝都は平和が保たれている。 それはひとえに久我家のお陰ではあるのだが、それが世間に知られることはない。 そして今日は遅れていた婚礼の義を正式に行うめでたい日である。  白無垢姿の文乃をそれはそれは愛おしそうに見つめる鷹臣の姿があった。 あと少しで婚礼の義が始まる。 「綺麗ですねぇ」  シノが口を開く。 今日はシノが丁寧に化粧をしてくれた。頬の傷も隠してくれたが、化粧をした自分を鏡で見るとなんだか別人のようで不思議な気分になる。 「あぁ、本当に綺麗だ」 「ありがとうございます」 照れくさくてしっかりと目を見ることが出来ない。 「そうだ、あとで新しい寝台をお部屋に運んでおきますね」 「ありがとう、助かる」 リクが誇らしげにそう言ったが、文乃はキョトンとしていた。 そんな文乃にリクが言った。 「婚礼の義を終えるということは、今日から鷹臣様は当主になるわけで。つまり二人は今夜から一緒に寝るんだよ」 「ええええ、」 「何だ、嫌か」 鷹臣はきっと文乃の想いを一番に優先するだろう。 文乃は首まで真っ赤にしながら首を横に振った。 「嫌なわけないでしょう!だ、だって…鷹臣様のこと、愛しているので」 「……」  鷹臣が固まる。 そんな二人を見てシノがあらあら、と口元に手を添えて笑う。 甘ったるい空気が流れていた。 END
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