アヴノ

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「ここに入店し始めたのは五年くらい前かな。その辺で遊んでたのを今のオーナーに拾われたんだ。仕事は楽しいし僕に向いてると思う。パソコンカタカタ打つとか畑やる自分は想像できないな」  国王候補であることについては、「それは別の話。王になる気は満々」と言った。「僕が王になったらこの島をもっと外にアピールしたいな。選ばれる自信?もちろんあるよ。僕が一番美しいから。純潔じゃないけど、王が純潔じゃないと駄目なんてルールないしね」  他の国王候補の印象を訊ねると、やはり彼は自信たっぷりに「チギもカゲキも悪くはないけど僕ほどじゃないね」と答えた。「チギはまだ子どもだろ。よっぽどガキが好きな奴じゃなきゃ選ばないよ」と述べた一方でカゲキについては「カゲキが純潔っていうのは嘘じゃない。僕にはわかる」と一抹の危機感を覗わせた。 「カゲキには何度か助けられてる。あいつ世話焼きだから。付き合いも長いからカゲキの馬鹿正直な所も知ってる。僕みたいに遊ばないしいい奴だよ。でも国王の座を譲る気はない。僕は負けない」  柔和な笑顔を見せるアヴノには、カゲキとはまた違う国王候補らしさが垣間見えた。
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