繁華街

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 アヴノが指名されている間、この店のオーナーにも話を聞くことができた。彼は七十代の移住者で、五十年前から御斗田島で暮らしているという。 「アタシがこの島に来た頃は王様の子どもちゃんがそれぞれ自分でお客を取ってたの。ぼったくられたーとか、客に殴られたーとか、トラブルも多くてね。これじゃあ誰も幸せにならないってことでアタシと仲間で力を合わせて店を出したの。治安もずいぶん良くなったわ」  アヴノを店のボーイにスカウトしたのも彼だ。アヴノのことを「初めて会った時から本当に綺麗な子」と褒め称えていた。 「でも危なっかしくて。あの子オメガでしょ。ここでは妊娠なんかご法度なのに。最初は渋ってたのよ、ひとりでやれば全部もらえる所を、店に入ったらピンハネされるって。アタシが説得して今はこうなってるってわけ。今でも遊んでるみたいだけどね。本当に馬鹿な子。あんなんで王様になれるのかしらね」  彼はアヴノにとって母親のような存在なのかもしれない。
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