証言

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 さらに運の悪いことに、このタイミングでカラドは二次性徴を迎え発情が起こった。身体が熱くなり身体の奥から突き刺されるように下半身が痛んだ。布団に染みができるほど体液が溢れて強いにおいがした。身体が重苦しくなり動けないカラドを男は自分勝手に犯した。 「おまえはもう美しくない」「誰もおまえがカラドだなんて気が付かない」「みんなおまえは死んだものと思っている。誰もおまえを探さない」  あらゆる言葉でカラドを縛り付けた男は身の周りの世話をさせ、好きな時に好きなだけレイプした。初めてレイプされてから約三ヶ月後、身体が張り裂けそうな痛みとともにカラドは小動物のような小さな赤ん坊を産んだ。  最初の赤ん坊は一日も経たないうちに短すぎる生涯を終えた。その後も男はレイプを辞めなかった。カラドは発情期にセックスをすると身体の痛みや苦しさが幾分か治まるのを感じていた。発情の苦しみから抜け出したい一心で男を受け入れた。  あの火事からどれくらいの年月が経ったのだろうか。ある日男は「身体が痛い」と言って寝込んだ。カラドは食事と排泄の世話しかできなかった。一ヶ月後男は苦しみながら息を引き取った。  カラドはこの姿になってから男以外の人間と接触していなかった。どこの誰に頼るべきかもわからず、かといって自分で遺体を運ぶこともできず男の肉は腐っていった。
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