上陸

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 筆者が御斗田東港に降り立ったのは四月四日月曜日十三時三十四分。雲ひとつない晴天で波も穏やかな日だった。港は小規模ながら賑わっており飲み物や軽食を売る車がいくつか止まっていた。  道路は舗装され街路樹も綺麗に整えられていた。港の周辺では島民と観光客が入り交じっていることもあってどれが王の子どもかはパッと見ただけではわからない。  案内役は観光協会のドゥンさん。王の子どもで年齢は五十代。小太りだが痩せれば二枚目だろう。目の色は王と同じだ。  ドゥンさんは明るい性格でよく喋る。港から少し歩いた所にある野菜の直売所にいる男性が国王候補だと教えてくれた。ここで国王候補と初めて遭遇した。  彼の名前はカゲキ。肌は浅黒くガッチリとした体つきをしていた。短髪で目は赤と金色のオッドアイ。背は高い。島内でマスコミが身に付ける腕章を見せながら声を掛けたら驚いたような顔をして目を伏せてしまった。  ドゥンさん曰くカゲキは大人しく口数が少ない。硬派という言葉がぴったりだという。ドゥンさんを仲介して今夜取材をしたいと頼んだら了承してくれた。
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