アヴノ

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「初めて会ったのは二年ぐらい前だよ。旅行で御斗田島に来て一目惚れ。本土に戻ってからもずっと忘れられなくて結局こうやって会いに来てる。あんなに綺麗な子がこんな田舎にいるなんてね。あーちゃんは都会で活躍するべきだと思うんだけど、このまま知る人ぞ知るイケメンのままでいて欲しい気もするんだよなあ」  アヴノの何が魅力的なのか、と訊ねると彼は「顔と体」と即答した。「御斗田島の経済を回しているのは実際あーちゃんだよ。ヤリマンって叩く奴もいるけど自分たちが助けられるの気付いてないんだろうね。いや、気付いてるけど認めたくないのかな」  前述したように、御斗田島の経済を支えているのは観光業だ。四割の王の子どもの美しさに魅入れられた人々がこの地を訪れる。要するにこの島は風俗業で成り立っているのだ。  売り専バーの開店時間を迎え、ようやくアヴノの姿を見ることができた。整った顔立ちのボーイの中でも一際美しいのがアヴノだった。滑らかな肌は王とほぼ同じ色。表情は王に比べると柔らかく魅惑的だった。王やカゲキと明らかに違う点は髪をプラチナブロンドに染めている所か。背筋もスッと伸びていて美しかった。  アヴノは筆者の姿を見て彼の方から話し掛けてくれた。取材にも快く応じた。
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