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――夜空は、まさに星が降り始めたところであった。
冷たく澄み切った夜空に、氷の粒のような星がいくつも散りばめられている。
その動かない星たちの間を縫うように、少しずつ降星が流れ出す。
「わぁ……」
しっかりと手を繋いで、マイラとリュートは並んでその景色を見上げる。
二人の吐く息が白く立ち昇って、まるで天の川のように夜空に広がった。
――やがて、ゆっくりと星が大地に降り始めた。
雪よりも優しく、ゆっくりとした速度で星は降る。蝋燭の炎より微かで、生命のように暖かな光を灯して。
「すごい、本当に星が降ってる……」
感嘆のため息と共に、リュートは声を洩らした。「流れ星のことじゃなかったんだ」と、独り言のような呟きがその後に続く。
素直な彼の反応にクスリと笑むと、マイラは胸元で手をそっと広げた。
静かに待つ内に、その手に収まるように小さな光が降りてくる。
しばらく手の中で優しい輝きを放った星は、そのまま雪が溶けるようにそっと消えていった。
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