1 六年目の星夜祭

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 ――翌朝。 「マイラ、昨日はごめん! 僕、お酒全然ダメみたいだね。気づいたら寝ちゃってて……君に迷惑を掛けてなければ良いんだけど……」  顔の前で手を合わせて上下に動かすというのが、彼の故郷の謝罪スタイルらしい。  そんな独特の動きをしながら身を縮めて謝罪の言葉を述べるリュートに、マイラはすっきりとした笑みを向けた。 「全然? 気にしてないし、迷惑も掛かってないよ。客室、勝手に使わせてもらったから」  少しだけ言い淀んだけれど、何気ない調子でマイラはそのまま言葉を続ける。 「……おはよ、リュート」  彼の目が、驚きで見開かれた。 「その口調……ってか、名前……! 待って待って待って、僕、一体何を言ったの⁉︎ えっ、何があったの……⁉︎」  ――面白いくらいの、動揺。  こみ上げてくる満足感と喜びに浸りながら、マイラは首を傾げた。 「特に、なにも? ……でも昨日は楽しかったよ、リュート。また遊びに来るね!」 「えぇえええ、説明なし……⁉︎ って、もう帰るのかよ……! あっ、こら、マイラ……!」 「じゃぁね〜」  制止する彼の声を無視して、片手を振って転移魔法陣を起動させる。 「えっ……転移、どうやって……⁉︎」  彼女の徹夜の成果に驚くリュートの声が響く。それを背に受けて、マイラは会心の笑みを浮かべたのであった……。
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