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3 病に倒れようとも、君は
――リュートが、倒れた。
その異変を教えてくれたのもまた、マイラの作った共鳴石であった。
夏の終わりの頃のある日。
突然共鳴石が真っ赤に染まり、マイラの胸元で燃えるような熱を持ち始めたのだ。
慌ててリュートの元へと駆けつけたマイラの目に映ったのは、粉々になった水差しと……そして、濡れた床の上で意識を失ったリュートの姿。
彼はこの困難を、一人で解決しようとしていたらしい。ベッドの周りには既に食べ物や着替え用の衣服が準備されていた。
そして最後の水の用意……というところで、力尽きて倒れてしまったのだろう。
――どうして私を……もしくは私でなくても良いから誰かを、頼ってくれないのか。
その光景を前にして、マイラの胸に打ちひしがれた想いが広がっていく。
悔しさに唇を噛みながら、リュートを抱き起こしてひとまずの応急処置を始めた。
しかし。
そのざっくりとした治療を進めていく過程で、マイラの眉間の皺はさらに深く刻まれることとなったのだった……。
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