3 病に倒れようとも、君は

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「マイラの見立て通り、ヴェール熱で間違いないわ」  リュートの症状を見てマイラが真っ先に行なったのが、かつての仲間である聖女セラを呼び寄せることであった。  稀代の治癒の使い手と評されている彼女は、手早い診察を行なうと簡潔に結論を述べる。 「ヴェール熱……リュート、この国の人間じゃないものね」  マイラの相槌に、苦いものが混じった。  自身の見立てが間違っていることに賭けたかったが、現実は非情だ。目の前のセラも厳しい顔で頷く。 「普通は子供の頃に罹っとくものなんだけどね……一度罹れば二度とヴェール熱に罹患することはないし、回復すれば身体も強くなる。だから子供の内のヴェール熱は、喜ぶものなんだけれど……」 「大人になって罹るヴェール熱の、回復割合ってどのくらい?」 「六割くらい……ってところかしら。ただ、それはあくまで最低限の生存の割合。ヴェール熱は生き残ってからの後遺症もひどいから、完全な回復という意味では……三割、ってところかな」  ――三割。  数字は、あまりにも残酷に現実を説明してしまう。
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