3 病に倒れようとも、君は

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「なるほどねぇ……確かに勇者さまは、私たちには言えない悩みを抱えてそうだなとは思ってたけど」 「……うん」 「でもね、多分勇者さまは本当に貴女のことを思ってそういう判断をしているんだと思うわ。(はた)から見ていても、マイラへの好意はあからさまだったもの。だから貴女の気持ちを受け入れようとしないっていうのは、本当にそれなりの事情があるからで……それを貴女が知ったら傷つくから言えないんでしょう」 「そうなの……かな」  勝手な憶測だけどね、と言ってセラは一旦言葉を切る。  そして躊躇いながらも、彼女はマイラの手をとって慎重に口を開いた。 「彼を諦めた方が幸せになるとしても……貴女は彼を選びたいの、マイラ?」 「うん」  ――迷いはなかった。まっすぐにセラを見つめて、マイラはしっかりと頷く。 「ねぇ、セラはジルと結婚して、子供ができて……幸せ?」 「それは、もちろん。今まで生きてきて良かったって、本気で思ってる」 「私もね、そうなりたいの。その幸せを、リュートと掴みたいの。――もちろん、リュートが絶対に嫌だ、無理、って言うなら諦めるけど……今の私はまだ、そこまで彼に拒まれてるとは思えないんだ。もし困難があるとしても、彼のためなら私、どんな無理難題だって乗り越えてみせる。それだけの覚悟はしてるから」 「……そう」  苦笑いでセラはマイラの決意を受け止めた。 「まぁ私もジルをオトすのに結構強引な手を使ったから他人のコト、言えないか〜」 「えっ、その話詳しく……!」  久々の恋バナは、それから彼女が帰る時間までずっと盛り上がり続けたのだった……。
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