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それからしばらく、リュートの看病に明け暮れる日々が続いた。
彼の意識は、なかなか戻らなかった。
乾いた唇に水差しを咥えさせ、身体を綺麗に拭き清め(これが一番慣れるまでに時間が掛かった)、回復魔術で体力を補う……挫けそうな気持ちを奮い立たせ、マイラは甲斐甲斐しく看病を続ける。
返事がないのはわかっていたが、その間は彼との思い出話や仲間の近況を話すように心掛けた。
少しでも彼の意識の戻るきっかけになればと、藁にも縋る想いだった。
――三日経っても、彼の意識は戻らなかった。熱も、いつまでも高いままだった。
五日経った。十日経った。
一向に進展を見せない彼の病状に、マイラも胸も潰れそうだった。
――そして更に時が過ぎ……、十二日目の朝。
「ぅ……」
「っ、リュート!」
彼はようやく、目を覚ましたのだった。
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