3 病に倒れようとも、君は

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 そうして彼の看護に明け暮れているうちに、いつの間にか季節は随分と過ぎ去っていた。  リュートが倒れた頃にはまだ青々と繁っていた葉も赤や黄色に紅葉し、そしてはらはらと地面に落ちて美しい文様を描き始める。  吹き抜ける旋風(つむじかぜ)も冬の気配を漂わせ、人々に冬支度を急かす。  ……そろそろ霜が降り始めてもおかしくはない。そんなひんやりとした空気に包まれるようになった頃。 (……ああ、今日は星夜祭の日だ)  ふと、マイラは気がついた。リュートの体調もだいぶ回復してきて、明日ここを発とうと決めた日のことである。  その前にささやかな祝宴でも、と食卓をととのえていたマイラは、そのことに気づいて少しの間手を止める。 (今年は……告白はやめておこう)  小さく笑って、首を振った。毎年の恒例行事ではあるが、今回はいささかタイミングが悪い。  この看病は、告白を受け入れてもらう目的でしたことではないのだ。負い目に感じてほしくはない。  マイラには特別なことをした意識はない。きっとかつての仲間が同じ状況に陥っても、彼女は同じだけのことをするだろう。 (まぁ、私にとっては役得だったし、ね)  お粥をあーんと食べさせてあげるのも身を寄せ合っての歩行訓練も、看病としてしている時は必死でそんな余裕はなかったが、今振り返れば良い思い出だ。  この思い出だけで、これからの一年を十分に頑張れる。  そんな回想に浸りながら窓の外へと目をやった。  沈みゆく夕陽は、晴れ晴れとした気持ちと呼応するかのように木立を黄金色に美しく輝かせている……。
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