3 病に倒れようとも、君は

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「リュート、ひとまずの回復おめでとう!」 「ありがとう、マイラには本当にお世話になったね」  ――辺りが暮れなずみ、夜の帳が下りようとする頃。  二人の祝宴は穏やかに始まった。  チン、と軽くグラスを合わせて乾杯をする。リュートの体調を気遣って、グラスの中身はノンアルコールの果実水だ。  こくりと一口飲んでから、マイラは軽い調子で手を振って笑い飛ばす。 「全然気にしないで。本当に大したことしてないし。むしろ、この前の恩返しを少しでもできて良かった」 「それこそマイラが気にすることじゃないよ。あれは僕が勝手に……」  言いかけて、「これじゃお互いキリがないか」とリュートは明るく笑った。  その笑みがまた見られるようになったことが本当に嬉しくて、マイラは今まで信じていなかった神に初めて感謝を捧げる。 「セラももう問題ないって言ってくれたし、ひと安心だね。リュートほど酷い症状になるのは、大人でも稀なんだって。後遺症もなく回復できてのは、本当に幸運なことみたいだよ」 「そうだね、マイラが付きっきりで助けてくれたおかげだよ。ただ、勇者だった頃の力が戻って来るのかはわからないけど……」 「別に、戻らなくても良いんじゃない? 魔王はもう居ないんだし」  あっさりとマイラは言い放った。
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