3 病に倒れようとも、君は

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 こんなことを言っているが、実際のところリュートの魔力量は既にメキメキと回復してきている。体力が戻るのも、もう時間の問題だろう。  ――でも、そんなことはどうだって良い。 「もう、勇者じゃなくても良いんだよ。私は、リュートが居てくれるだけで嬉しい」 「……うん、ありがと」  驚いたように少し目を見開いてから、リュートはふわりと笑む。そして、手を伸ばすとマイラの髪をくしゃりと撫でた。 「っ!」  あっという間にマイラの頬に熱が昇っていく。  ――病で心細くなったのだろうか。  療養中から、いつの間にかリュートは今までにないほどにマイラとの距離を縮めていた。  ふとした瞬間に頭を撫でたり、頬に触れたり。  その優しい手つきに触れられると、それだけでマイラの胸は痛いほどに高鳴ってしまう。  ……そして、そんな時の彼の眼差しと言ったら!  その視線の熱はマイラを(とろ)かしてしまいそうなほどに熱く、そして扇情的であった。  目を合わせただけで、マイラの身体は勝手に熱くなっていく。  そんな自分が恥ずかしくて、居た堪れない気持ちに逃げ出したくなる。  ――どうして、そんな目で私を見るのだろう。  その答えを聞くこともできず、マイラは熱くなった頬を隠すように俯くことしかできない。  その熱のこもった視線に焼かれるだけで、恋心はどこまでも暴走しそうになってしまう。
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