3 病に倒れようとも、君は

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 少しギクシャクとした空気の中で、マイラはこれからの予定や誰にリュートの回復を知らせるべきかなどの話を始めた。  もう既に話した内容も多かったが、今まで通りの会話をすることに必死な彼女に気にする余裕はない。行き当たりばったりでなんとか話題を繋げていく。  そうして懸命に沈黙を埋めても、ふとした瞬間に話は途切れてしまう。  その何度目かの気まずい静寂の中で、リュートはぽつりと呟いた。 「そうか……今日は星夜の日か」 「あっ、うん、そだねっ」  不自然なくらい明るいマイラの相槌が、微妙な空気の中で空回りをした。  そしてもう一度訪れる、相手の出方を窺うような静寂。  今年は告白しない、と果たして彼に言うべきなのだろうか。迷うマイラが口を開くよりも先に、リュートが真面目な顔で切り出す。 「実は……マイラに聞いてほしいことがあるんだ」 「聞いてほしいこと?」  その緊張に強張った声に、つられてマイラの身体も硬くなった。 「ああ。僕がずっと言えなかった……大事な話」  真剣な口調でそう頷き、リュートはテーブル越しにそっとマイラの手を握り締めた。 「……⁉︎⁉︎⁉︎」  戸惑うマイラの反応も気にかけず、リュートは更にそのまま指まで絡め始める。  しかし彼にふざけている様子はなくて、むしろ至って真面目で……そして不安に押し潰されそうな弱々しい表情を浮かべていた。
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