4 星降る夜を何度でも、君と

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 どこまでいっても彼は異世界から来た他所者(よそもの)で……、そして世界を救うことを期待された勇者だった。  周囲の人間と距離ができてしまうのは、彼にはどうしようもないことだった。  ――だからこそ。 (本当に、マイラの存在はありがたかったよなぁ……)  自分に懐いてくれる小さな女の子。  彼女の気の置けないコミュニケーションのおかげで仲間との壁は大分なくなったし、なによりもそのまっすぐな視線は快かった。  彼女が居なかったら、自分はきっと早々に病んでいたことだろう。  マイラの何気ない振る舞いに、どれほど救われていたことか。  そして彼女は幼いながらにして、超一流の魔導師であった。  小さな手から繰り出される魔術は、鮮烈にして精緻。  立ち昇る魔力で赤い髪を(なび)かせながら魔獣の大群を一掃するその姿は、恐ろしいほどに圧倒的であった。  ……そんな卓越した能力を有していたからこそ、強者の孤独を知る者として彼女は琉人とわかり合えたのかもしれない。  ――初めて迎えた、星夜の日。  真っ赤な顔で辿々しく愛の告白を口にするマイラの姿を、琉人は今でも覚えている。  その頃は彼女の好意を「憧れのお兄ちゃん」に向けるものとしか思っていなかったし、そもそもの年齢差もあって恋愛対象に見ることはなかったけれど。  ……この世界の時間の流れが元の世界と違うことに気がついたのは、それからすぐのことであった。
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