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――もし、自分が逆の立場だったら。
少しだけ考えてみる。彼が九十まで生きたとしても、マイラにとってそれはたった三十年――確かに、その差はあまりに大きい。
「……長生き、しなくちゃね」
ぽつりと呟くと、リュートが嬉しそうに顔を上げた。その笑顔が、直視できない程に眩しい。
「私も……リュートが好き。優しくて頑張り屋なところも、いつも穏やかに話を聞いてくれるところも、私の頭を撫でてくれるその手も。うん、私も最後までリュートと一緒に居たいです」
「っ、マイラ!」
その言葉が終わるよりも先に、リュートはガバリとマイラに抱きついていた。
テーブル越しの無理な体勢だというのに、その腕は緩められることがない。ぎゅうぎゅうとマイラの身体を抱き締める。
「ちょっとリュート、苦しい……苦しいって……!」
ぽかぽかと背中を叩いてそこからなんとか解放されると、マイラはにっこりと彼に手を差し伸べた。
「それじゃ、外へ行こう? 早くしないと、星夜が終わっちゃう」
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