4 星降る夜を何度でも、君と

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 ――夜空は、まさに星が降り始めたところであった。  冷たく澄み切った夜空に、氷の粒のような星がいくつも散りばめられている。  その動かない星たちの間を縫うように、少しずつ降星が流れ出す。 「わぁ……」  しっかりと手を繋いで、マイラとリュートは並んでその景色を見上げる。  二人の吐く息が白く立ち昇って、まるで天の川のように夜空に広がった。  ――やがて、ゆっくりと星が大地に降り始めた。  雪よりも優しく、ゆっくりとした速度で星は降る。蝋燭の炎より微かで、生命のように暖かな光を灯して。 「すごい、本当に星が降ってる……」  感嘆のため息と共に、リュートは声を洩らした。「流れ星のことじゃなかったんだ」と、独り言のような呟きがその後に続く。  素直な彼の反応にクスリと笑むと、マイラは胸元で手をそっと広げた。  静かに待つ内に、その手に収まるように小さな光が降りてくる。  しばらく手の中で優しい輝きを放った星は、そのまま雪が溶けるようにそっと消えていった。
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