4 星降る夜を何度でも、君と

8/8

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
 視線を感じて顔を上げると、そんなマイラの姿を優しい目で見下ろすリュートと目が合う。愛情の篭った、柔らかな眼差し。  甘えるようにリュートの身体に擦り寄い、マイラはそっと囁く。 「星夜の光はね、亡くなった人たちが還ってくる魂だとも言われているんだよ」  だから、と続けるこの言葉が彼の救いになるかはわからないけれど。 「来年も、再来年も、その先も……こうして、一緒に星夜祭を過ごそう。遠い未来、私が魂だけの存在になったとしても、きっとこの日は戻ってくる。戻ってきて、貴方を照らすから、だから……」  それ以上は言葉にならない。見つめ合った二人は、柔らかな星の光に包まれながらそっと唇を重ねた。  刹那とも永遠とも思える幸福の時間。    ――来年も、再来年も、その先も。  マイラはもう一度、胸の内でそっと呟いた。  この幸福が永遠でないことは、知っているけれど。それでも。  ――星降る夜を何度でも、君と。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加