1 六年目の星夜祭

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 ――どうして。告白を断った彼が、私よりも傷ついた顔を浮かべているのだろう。  その表情の意味するところがわからなくて、マイラは左手を握り締めた。その真意はわからなくても、彼の哀しそうな笑みは確実にマイラの胸をぎゅっと締めつける。 「僕は、マイラに幸せになってほしいんだけどなぁ……」 「私の幸せは、勇者さまのそばにいることです」  きっぱりと断言しても、彼は何も言わず首を振るだけだ。その反応に、そろそろ潮時だな、と長年の経験が判断を下した。  それ以上言葉を重ねることを諦めて、マイラは手に提げたバスケットを掲げてみせる。 「わかりました、今回は引き下がることとします。祭りのご馳走を色々持ってきましたから、晩御飯をご一緒しませんか?」 「もちろん、喜んで。外は寒かっただろう? 暖炉で温まると良いよ」  あからさまな安堵の表情を浮かべ、彼はいそいそとマイラを室内へと招き入れた。
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