1 六年目の星夜祭

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 それ以上言葉を重ねることを諦めて、マイラは手に提げたバスケットを掲げてみせる。 「わかりました、今回は引き下がることとします。祭りのご馳走を色々持ってきましたから、晩御飯をご一緒しませんか?」 「もちろん、喜んで。外は寒かっただろう? 暖炉で温まると良いよ」  あからさまな安堵の表情を浮かべ、彼はいそいそとマイラを室内へと招き入れる。 (ああ、やっぱり今回もダメだったなぁ……)  屋敷へと足を踏み入れながら、マイラはこっそりと嘆息した。  もう何度も繰り返した、このやりとり。すでにその内容は、断られることまで含めてお約束のようになってしまっている。  ――これで通算六回目の惨敗。それでも告白することにもフラれることにも、マイラは未だに慣れることはない。 (だけど……いつかきっと、振り向かせてみせる)  屋敷の中へと先導する彼の背中を見つめながら。フラれたばかりの失恋の痛みを胸に、挫けることのない決意を固くしていたのであった。
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