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そう、このときのサライアスはエセルバードを養子にしようと考えていた。結婚する気のないサライアスに子を望むのは難しい。となれば養子をとる必要がある。だが、その話もこじれていて面倒くさくなっていた。何しろサライアスはオルコット侯爵家の当主でもある。やはり十年前の流行病で両親を失い、当主を引き継いだ。それが面倒くさい立場の理由である。
エセルバードであれば、かつての使用人であったマルクの孫だ。マルクだって男爵位の男だった。となれば、それなりの血筋でもある。そんなことを、サライアスは密かに考えていた。
もちろん、ラクシュリーナには当分、言うつもりはない。
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