交渉

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 ラクシュリーナの部屋は『工』の王城とは離れた位置にあった。だから子どもたちが雪遊びをしていたことに気づいたのだ。  エセルバードはいつもと違う建物へと足を向けていることに、不安を感じているようだった。 「わたくしのお部屋はこちらにあるの。わたくしのための、特別な建物なのよ」  そこは、離塔(りとう)とも呼ばれている。 「寂しくは、ないのですか?」  エセルバードの問いに、ラクシュリーナは首を傾げた。 「寂しい? どうして?」 「だって、あちらにはたくさんの人がいますが、こちらには……」 「こちらには、カーラとサライアスがいるもの。他にも人がいるから、後で紹介してもらってね。あ、今日からはエセルバードも一緒ね」 「姫様……エセルバードは私と同室にさせますので、基本的には王城の住居棟が住まいとなります。私も姫様の護衛がないときは、あちらにいるでしょう?」  サライアスの答えが不満だったのか、ラクシュリーナはぷっと頬を膨らませた。 「サライアスがこちらにいるときはエセルバードもこちらにいるのでしょう?」
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