交渉

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「姫様。エセルバードは私が弟子にすると言いました。鍛錬をつみ、身体を鍛えてもらう予定です。それから、勉強もしてもらわなければなりませんね。まだ、学校に通う年齢ではないので、自主的に学んでもらおうと思っています」 「だったら、決まりね! わたくしがエセルバードに勉強を教えればいいのだわ」 「姫様、その話はおいおいと考えましょう。さて、私は浴室の準備をして参ります」  離塔に足を踏み入れたとたん、カーラは浴室へと向かった。この離塔は、十年前の流行病のときに、ラクシュリーナの母親が使用していた建物である。病に冒された者を隔離するための場所なのだ。  今では病に冒されてはいないラクシュリーナが、ここで生活をしている。  皆と離れて生活をしているだけで、なんら不便もない。食事に必要な物は運ばれてくるし、身を守ってくれる近衛騎士も、身の回りの世話をしてくれる侍女もいる。 「浴室の準備が整うまで、暖炉の前にいなさい。あとで、サライアスにこの塔を案内してもらってね。ここは談話室。誰でも自由に使える部屋よ」
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