交渉

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 サライアスが暖炉に薪をくべ、火を強くした。そこに、浴室の用意をしたカーラが、乾いた大きなタオルを手にして現れた。 「とりあえずは、こちらでも羽織っていてくださいな。すぐに、湯はたまりますからね」  アイスエーグル国は、大陸を縦に走っているクスク川の上流の水を、龍魔石を用いて浄化して使っている。龍魔石とは、龍の鱗が作り出す石のことで、おとぎ話に出てくる魔法のような不思議な力があることから、龍魔石と呼ばれていた。  この龍魔石を管理するのも、王族の務めでもある。氷龍の龍魔石は水に関する能力を持ち、水を浄化したり水を冷やしたりすることができる。  そして、風呂の水をあたためるのは、火龍の龍魔石の能力である。  こういった龍魔石は、国と国で条約を決めてやりとりがされていた。お互いにお互いの龍魔石が必要であるため、年間の使用量と使用可能量を算出して、外交の場での議題としている。今のところ、どこかの国が龍魔石を独占するといった動きは見られていない。  エセルバードが風呂に入っている間、ラクシュリーナはぬくぬくと茶を飲み始める。  サライアスは使用人のマルクを呼び出した。
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