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「ゼクスじいさんの頼みだったからな。まぁ、お前さんが俺んとこにいるよりも、サライアス様のところにいたほうが、じいさんも天国で安心できるだろうな」
「そんなことは……」
その言葉にエセルバードがしどろもどろし始めると「冗談だ」と言って、マルクは立ち上がる。
「では、失礼します」
余計な言葉は口をせずに、マルクは深く腰を折って部屋を出て行った。
「マルクも公認ね。これで、好きなだけここにいれるわね」
ラクシュリーナの言葉に、サライアスは目を糸のようにする。
「姫様。先ほども言いましたし、何度も言いますが。エセルバードは騎士として私が鍛えます。けして、姫様と遊ばせるためにマルクから引き取ったわけではありませんので」
「失礼ね、サライアス。何度も言っているでしょう? わたくしは子どもではありません。だけど、エセルバードに勉強を教えるのはいいでしょう?」
とにかく何かと口実をつけて、彼女はエセルバードと時間を一緒に過ごしたいらしい。
それもラクシュリーナの境遇を考えると、仕方のないことなのかもしれない。
サライアスは深く長く息を吐いた。
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