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告白
エセルバードはいつの間にかサライアスの猶子となっていた。これは、ラクシュリーナも知らなかった。
彼が正式に騎士となったら、サライアスの猶子から養子へ変更するとのこと。どちらにしろ、エセルバードはサライアスと父子の関係になっていたのだ。
その関係を結んでから三年。
アイスエーグル国にはまた雪の降る季節がやってこようとしていた。
空気が冷え込み、太陽の光を反射させた粒子がきらめく中、複数の氷龍が連なって空へと飛び立った。
ラクシュリーナはその様子を部屋の窓から眺めていた。
――エセルバードと出会った日も、こんな日だった。
なぜかしみじみと感じてしまう。
外は雪が降っていて寒いのに、壁一枚隔てたこの室内は、春のようなあたたかさに包まれていた。
冬の長いアイスエーグル国にとって、火龍の龍魔石は必要不可欠なものである。湯をあたためるのはもちろん、火種にもなる。こうやって部屋をあたたかくしてくれるのも、火龍の龍魔石の力のおかげだ。火の龍魔石のおかげで、火種は容易に手に入る。
それでも今年は、龍魔石不足が起こるかもしれないとささやかれていた。
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