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というのも、各国の龍魔石は条例に基づいた物々交換のようなもの。アイスエーグル国の龍魔石の採取量が減少しているのだ。
それに危機感を募らせているのは、もちろん国の重鎮たち。国内の各地にいる有識者を集め、氷龍の様子をみては対策を考える。だが、氷龍の様子は今までと特に変化はない。
雪が降れば空を飛翔し、一日に数回、鱗を龍魔石へと変える。だけど、最近、その量が少ない。
そういった話は、離塔で暮らしているラクシュリーナの耳にも届く。
そして、もう一つ。寝耳に水のような話が飛び込んできた。
「お姉様がフレイムシアン国に?」
その話を聞いたのは、雪が降り積もった日の朝。外一面が銀世界で、太陽がきらきらと雪の粒を光らせていた日のこと。
「はい。ですから、本日の午後、オーレリア様がお会いしたいとのことです」
ラクシュリーナは顔をしかめた。
姉のオーレリアも二十歳になった。どこかに嫁いだっておかしくはない年頃だ。
各国と腹の探り合いをしながら、オーレリアとラクシュリーナをどこに嫁がせるかは、重鎮たちの頭を悩ませる話でもあったのだ。その話の一つがまとまっただけ。
「なぜフレイムシアン国?」
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