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本城のエントランスは、以前訪れたときと変わりはなかった。エントランスから真っ直ぐ進めば、大広間へとつながる。だが今日は、その脇にある階段をあがり、ギャラリーを抜けて、王族のプライベートゾーンへと入った。入り口には見張りの騎士もいるが、ラクシュリーナとサライアスの顔を確認すると、すんなりと通す。だがサライアスの後ろを歩いている、エセルバードだけには怪訝そうな視線を向けた。
コツ、コツ、コツ、コツ――。
ラクシュリーナは白い扉の前に立つ。繊細な装飾は、何かの植物の蔦のように見える。だが、これが何を表しているのか、正確なものはわからない。
「ラクシュリーナです」
「どうぞ」
オーレリアの明るい声が中から聞こえてきた。ラクシュリーナはサライアスとエセルバードに目配せをして、部屋へと入る。彼らは部屋の外で待つ。
「いらっしゃい、ラクシュリーナ。顔を見せてちょうだい」
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