告白

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「私に縁談がきたの。フレイムシアン国の王太子。どう思う?」  どう思うと問われても、ラクシュリーナはその王太子をよくわからない。いや、外交パーティーの場で顔を合わせたことくらいはあったかもしれない。だが、どういう顔で容姿だったかは、まったく思い出せない。 「もしかしてお姉様。その縁談が嫌なのですか?」  それでラクシュリーナに代わりに嫁げと言い出すのだろうか。 「そうではないのだけれど……。やはり、フレイムシアンに嫁ぐというのが少しだけ不安で」 「お父様やお兄様たちは、どのようにおっしゃっているのですか? わたくしは、フレイムシアンの王太子殿下がどのような方か詳しく存じ上げないので」 「……そうよね。お父様もお兄様も、フレイムシアンの王太子殿下――ブラッドフォーム殿下は縁談の相手としてはこのうえない相手だと……誠実な方、と言われたわ」  また無難な言葉だ。 「私たちが好きな方と結ばれることはないのだろうけれども……」  それではまるで、オーレリアに想い人がいるかのような言い方である。
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