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先ほどより、子どもたちの賑やかな声が外から聞こえてくる。声の主は、きっと使用人の子どもたちにちがいない。
雪が降って喜ぶのは、子どもと犬くらいなのだ。大人と猫は、あたたかな室内でのんびり過ごしたいと考えている。
だが、この国の第二王女であるラクシュリーナは、そのどちらにも分類されないような微妙な年頃である。雪が降ったから外で遊びたいわけでもないし、暖炉の前でぬくぬくとしていたいわけでもない。
ただ、雪で遊んでいる子どもたちの様子が気になって、ぼんやりと外を眺めていた。アイスエーグルの王城は『工』の形をしており、奥が使用人やその家族の居住棟となっている。子どもたちも仕事を与えられ働いているときもあれば、勉強をするときもあり、そしてこのように遊んでいるときもある。
特にラクシュリーナが与えられた部屋からは、外で遊ぶ子どもたちの様子がよく見えた。
年頃の女性が好みそうな、薄い黄色を基調とした明るい部屋である。壁には花が咲いたような刺繍が施され、カーテンも絨毯も、春の訪れを感じさせるような淡い色。
「サライアス。外に出たいのだけれど、よろしいかしら?」
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