成長

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「子どもの成長って早いのね……」  ラクシュリーナはぽつりと呟いた。きっと子の成長を見守る親は、こんな気持ちになるのだろう。  カーラが手渡した湯気の漂うカップを両手で包み込んだ。  サライアスとエセルバードは上着を脱いで、少し離れた場所に座り、二人で何か言葉を交わしている。  血のつながりのない二人なのに、こうやって見ると本当の父子(おやこ)に見えるから不思議だ。  ラクシュリーナの胸の奥が、ズキッと軋んだ。  その日の夕食は、あたたかなシチューであったのに、ラクシュリーナには食欲がなかった。帰ってきてからも、顔は火照ったままだ。 「姫様……」  そんなラクシュリーナに声をかけたのは、エセルバードである。 「食欲がないようですが……。もしかして、体調がすぐれないのではありませんか?」  エセルバードは、ラクシュリーナの食事中はサライアスと並んで離れた場所に立っていた。だが、つかつかと歩いてきて、声をかけたのだ。 「え? あ、そうね」 「姫様、失礼いたします」  エセルバードの手が伸びてきて、ぴたっとラクシュリーナの額に触れる。 「義父上。姫様、熱があります」
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