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山の稜線が橙色に染まる頃、エセルバードは目が覚めた。隣の寝台はすでに空だった。
そろりと寝台より下りて、ラクシュリーナの部屋へと足を向ける。
「義父上……」
先にサライアスが様子を見に来ていたようだ。難しい表情で、ラクシュリーナを見下ろしている。
「あぁ、エセルか」
エセルバードの姿に気づいたサライアスは、目尻を下げた。
「姫様の熱は下がったようだ。念のため、医者を呼ぶつもりだ。朝食を終えたら、本城へ行ってもらえるか?」
「はい」
こうやってサライアスが信用して命じてくれるのも、エセルバードにとっては誇らしいものであった。
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