暗転

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「でもそれって、外に出て練習をしなければならないと思うのね。外に出られないわたくしが、それを練習するのはどうしたらよいと思う?」  まるで卵が先かにわとりが先かのような話である。 「ボクには判断ができませんので、義父(ちち)に確認してみます」  エセルバードには決定権はない。それでもこうやって彼女はエセルバードを頼ってくれる。それだけで心にぽっと火がついた。  一つ心配事が解決すると、また新たにやってくるのはなぜだろうか。  次第に雪も深くなり、本来であれば氷龍が空を軽やかに飛翔する季節である。だが、空を飛ぶ氷龍の数が減っているように見えた。  さまざまな有識人が王城に集められているのも、知っていた。  新しい年も明け、これからますます雪が多く降るだろうとしている季節に、ラクシュリーナとサライアスは本城から呼び出された。残念ながら、エセルバードは留守番である。  サライアスからは「目を通しておくように」と分厚い本を一冊手渡された。
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