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「そういう言い方もできるかもしれないが。氷河時代を引き起こす原因が氷龍にあるとすれば、アイスエーグル国はその責任を取らなければならない」
その言い方はずるい。そんな言い方をされたら、反論できない。反論すれば、王族を侮辱したことになる。彼らの存在意義を否定することになる。
「では、アイスエーグル国は消滅してしまうのでしょうか……」
氷龍とともに王族が眠りにつく。となれば、この国は立ち行かなくなるだろう。
「いや。王城を中心に閉鎖し、残った者は他の場所で生活を続ける。ただ、龍魔石はどうなるかがわからないから、今までと同じような生活が望めるかどうかはわからない。それでも、氷河時代がやってくるよりはマシだろうという考えだ」
犠牲を最小限にする。その言い方がしっくりとくるだろう。
「そうですか。まだ、信じられない気持ちもありますが……」
「そうだ。俺だって信じられない……」
サライアスが自身を「俺」と呼ぶのはめったにない。それだけ彼自身の感情も揺れ動いているという証拠である。
「だが、もっと信じられないと思っているのは……姫様だろうな……」
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