エピローグ

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エピローグ

 キュゥというかわいらしい鳴き声は、氷龍の鳴き声だ。  彼らは見た目と違って、意外とかわいい声で鳴く。  キュゥキュゥキュゥ――。  だが、これだけ氷龍が鳴いているのは珍しい。何があったのだろう?  頭の中は、氷龍に何が起こったのかという好奇心でいっぱいだった。それを確かめたくて、ぱっと目を開ける。 「お目覚めになられましたか? ラクシュリーナ様……」  目の前には天鷲絨(びろうど)の瞳。春を思わせる黄檗(きはだ)色の髪。このような男の子を知っているが、このような成人した男性は知らない。 「……あ、え……?」 「姫様が氷龍とともに眠りについてから、二十年が経ちました」 「は……?」  まだ頭がはっきりとしない。それでも、氷龍を守るために、龍の間に置かれた立派な寝台で眠りについたのは覚えている。  だけどラクシュリーナにとっては、夜に眠りにつくような、そんな感覚だった。  目をぱちぱちと瞬かせてから、首を振って周囲を確認する。  キュゥキュゥキュゥ――。  氷龍たちが起き上がり、のそのそと動き回っている。何体かは回廊に出て今にも飛び立ちそうだ。 「え? 氷龍は元気になったのかしら?」
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