出会

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 観念したかのように、彼はすっと立ち上がる。力強い天鷲絨(びろうど)の瞳は、ラクシュリーナをじっと見上げている。 「わたくしはラクシュリーナ、十六歳よ。あなた、お名前と年齢は?」  天鷲絨の瞳がやわらかく揺れた。 「エセルバード、六歳」 「まあ、お利口ね。だけど、あなたの素敵な髪が濡れているわ。珍しい色ね。春に咲き誇るたんぽぽみたいな色。春の色だわ」  ラクシュリーナはサライアスの髪に触れる。 「あ、濡れているのは髪だけじゃないわね。全身、びしょ濡れよ。カーラ、この子を浴室に案内して」 「姫様。使用人の子を勝手にそのようにしては……」 「大丈夫よ。ね、サライアス」  ラクシュリーナがサライアスを見上げると、彼は少しだけ身体を引いた。 「サライアスは結婚する気がないのでしょう? だから、この子を弟子にしたらどうかしら?」 「姫様の話が飛躍しすぎていて、私には理解できません」
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