出会

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「この子、あれだけ集中的に雪玉を投げつけられていたのに、ひるむことなく相手に対抗していたの。それに雪玉をよける動きも機敏でよかったわ。今からあなたが育てれば、十年後にはこの国一の騎士になる。だから弟子にしなさい。そして、サライアスの弟子なら、風邪をひかないように、浴室で身体を温める必要があると思うの。ね、これですべての問題は解決よ」  カーラとサライアスは困ったように顔を見合わせた。 「……姫様のご推薦であれば、鍛えがいがあるということでしょう」  身体を震わせていたエセルバードは、クシュンとくしゃみをした。ラクシュリーナは慌てて自分の首元をあたためていた若草色のマフラーで、彼を包み込む。 「昔から、首のつくところをあたためなさいと言うの。首と手首と足首ね。とりあえず今はこれで首だけでもあたためて」  驚いたように目を見開いた彼は、マフラーをきゅっと握りしめた。 「エセルバード、君はどうする? 私の弟子になってこのまま浴室に向かうか、そのマフラーをおいてこの場を去るか」  冷ややかな言い方をしたサライアスだが、いじわるをしているわけではない。エセルバードの心構えを確認しているのだ。
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