黒天使さんと。

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昔々、ひとつの天使が気まぐれから地に降り、川で水を浴びていた。  清らかに澄んだ水。それに負けないくらい、透明な肌。  余りにも潔白で、無垢な光景。  そこに偶然、通りかかった男がいた。  男は驚き目を見張る。こんなに綺麗な女性はみた事がない。  物陰に隠れじっと観察する。  美しい、美しい。まるで光を湛えるようだ。  不思議と曖昧な輪郭、川面に反射した光がそうさせている事に気付き、はっとする男。  女性越しに、後ろの風景が透けている。  ああ、やはりこの世のものではないのだ。  だって、美しい。  ああ、ああ、ああ…  なんでぼやけてしまうのだろう。  もっと明瞭に視れないものか。  はっきりと、君の美しさを。
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