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美羽(みう)
美羽はあたりを見回した。いつのまにか、そこは薄暗い城の中。城の壁には龍のような奇妙な動物を描いたタペストリーが飾られている。
坊主頭の色黒の男性が、玉座らしいところに座っていた。
その男性を見た時、美羽は不意に懐かしさに襲われる。そう、自分は前世から、この人を知ってるんじゃないか。
男性は紫色のシャツをオシャレに着こなしていた。ただ、パンツは緑色の地に象やパンダがプリントされた、迷彩柄に似たデザインのもの。すごく個性的な印象を、その外見からすでに受ける。
男性は美羽の目を見てた。綺麗な草原や森が美羽の頭の中に浮かぶ。
朝陽先輩は、その男性にずかずか向かっていく。
「俺たちを戻せ。もとの世界に戻せよー!!!」
男性はふふっと笑うと、朝陽先輩の体を宙に「浮かばせた」。朝陽先輩は手足をバタバタさせて、呼吸さえおぼつかなそうにしてる。
「美羽に汚い手を出すなや。オラが言いたいことはそれきりさ。それじゃあな」
言うと、男性は朝陽先輩をその空間から消し去った。
「あんなやつだけども、もとの世界に戻してやったさ。美羽、安心せい」
男性は美羽の名前を呼ぶ。
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