悪意の滞り

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 絵美はハンスに以前『マッサージ』の仕事をしていた事を話し『もしかしたら力になれるかもしれない』と伝えた。  「マッサージとはいかなるものか?」  この世界ではマッサージに類似する技術は無く、ハンスは半信半疑だ。 「擦る・揉む・押す・叩く」 「これを道具を使わず行い、相手の辛い症状を和らげるのがマッサージです」 「痛くはないのか?」 「稀に痛いくらいを好む人もいますが、なれてない人にはやさしめの刺激量にします」 「うむ。実は瀉血(しゃけつ)をしてもらったのだが……あまり効果が出なくてな……」 -瀉血(しゃけつ)でた!!-  何処ぞの中世ヨーロッパみたいに瀉血(しゃけつ)を多用していたのね。  絵美とシモーヌはハンスに案内され、ケイトの寝室の扉の前まで来た。  ハンスが扉をノックしケイトの寝室まで入り、ハンスの合図で絵美とシモーヌも寝室に入る。 「エミ……」  ベッドに横たわるケイトはとても辛そうだ。 「パパから聞いたけど……『悪意の滞り』って無くなるの?」 「すぐには無くならないかもしれない」 「でも少しずつ楽になる」 「もし……他に手段が無いのなら、やってみる価値はある」  ケイトは頷き、絵美は仰向けになるよう伝えた。
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