はじまりのはじまり

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「新宿店さ歌舞伎町が近いだろ?」  うんうんと頷くスタッフ一同。 「今ホストクラブに対する締め付けが厳しくなっているからなのか、ホストが客として店に来てスタッフにさりげなーく営業かけるんだと」 「まあ客引きなんで出来ないからな」  ……。  その場限りにいた全員呆れていたが。 「キモっ」  絵理は思わず声に出してしまった。 「有馬さん」  店長は苦笑いするが、ふとある事を思い出した。 「そういえば有馬さんって……前新宿店にいたよね」  頷く絵美。 「その頃もホストの営業らしきのはあった?」  絵美は少し考えた。  皆の視線が集まる。 「ホストはどちらかと言うと、キャバクラや風俗店に客として足を運んで営業するパターンかな?マッサージのお店にホストらしき男性が来る事はあるけど……う~ん……普通にマッサージ受けてたし」 「マッサージ師の給料ってキャバ嬢や風俗嬢に比べると、ホストにとって魅力がないので……」  そりゃそーだ。  このご時世マッサージ店に営業かける位、ホスト業界も苦しいのだろう。みんながみんな稼げる時代ではない。 「新宿店のお客様だった風俗のお姉さんが言ってたんですけど……たまにホストらしきお客様が来てるって」 「なるほど……」 「もっと教えて有馬さん」  田中が話しに突っ込むが、これは小説家としての性分か? 「そのお姉さんが経験した営業パターンは、店に来ているのに男性は服すら脱がずサービス受けず。でいいお客さん装うのが1つ」 「もう1つは普通にサービス受けてから営業かけるパターン」 「ちゃっかりサービス受けて……イチモツぶら下げて営業するホストは笑えるってさ」  田中がうんうんと頷いている。  また小説のネタにでもするのだろう。  抜け目がない。
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