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魔女の一撃
やばいやばいやばい……。
有馬絵美(32歳)
職業マッサージ師
新橋で車にひかれたと思ったら……わけのわからない世界に放り出され、どうやら人生詰んだみたいです。
周囲の男性達がこぞって私を見て……いや睨んでいる。
怖いよ……秀吉様。
私は手足が冷たくなり震えが止まらない。
怖い……。
このまま炙られるのか。
炙るのはスルメかサンマにしてください。
美味しいですよ。
あじの干物もおすすめですし『いかがですか~?』
って現実逃避してしまった!
「待ちなさい」
どこからか威厳があるけど、落ち着いた男性の声が聞こえた。
「ちょ…長老」
長老と呼ばれた男性を見ると、ぱっと見イケオジ(イケているおじいちゃん)だった。
顔が整っていて昔モテたんだろうな。と余計なことを考えてしまった(私の好みではないけど)
イケオジ長老は私に近づくと、優しい表情でこう尋ねた。
「お嬢さん名前は?」
「え……エミです」
(よかった……言葉が通じる)
「エミか……」
「断言は出来ないが、おそらくお嬢さんは魔女ではないだろう」
周りはザワつくが長老は気にせず、群衆を振りかえりこう告げた。
「昔から魔女の一撃の時は、魔女は近くにいないと言われている!」
「なぜなら魔女は狙った相手から離れた場所で、魔術を使い見えない一撃を放つからだ!!」
「じゃが、エミがどこの誰だかわからんのは、皆不安かもしれん」
長老は少し考え込んだが、群衆を安心させるためなのか『エミの身柄は私が一時預かる』と、そう話してくれた。
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