恋愛のメソッド

12/14
前へ
/86ページ
次へ
日曜日、遅めに起きると 午後から東京駅に行き 施葉舎堂のブースでも冷やかすか、 などと気楽な気持ちで寄ったものの そこは思いもよらぬカオス状態 美穂も汗だくで接客していて 私はスゴスゴと駅を後にした そんな冴えない週末を過ごし 月曜日に出勤すると 日下部のデスクには、人が使ったような跡があり すぐ隣にあるキャビネットの上には、 アレンジメントの花が飾ってあった 私が業務開始の支度をバタバタとしていると 日下部が席に戻ってきて どうやら、彼は職員朝礼での挨拶後 区長室に呼ばれ、話をしていたようだ 少し落ち着いた頃を見計らって 私は、日下部に話しかけてみた 「おはようございます、 あの…怪我の具合、いかがですか? 少しは良くなりましたか?」 日下部は 「ああ、この前はどうも 見ての通り、三角巾も取れたし、傷もたいして 残らないらしいから、俺はもう大丈夫… って事で、後藤田さん…別に何か…その 負い目に感じる事は無いから」 相変わらず、ちょっと冷めた口調 「…はい、ありがとうございました どうぞお大事に」 私はそれだけ言うと、そそくさと自席に戻った
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加