有罪宣告

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有罪宣告

「いやぁ、金沢観光って憧れだったんですよ」 「美味い居酒屋に連れてけよ」 「いや、寿司だろう」  北陸新幹線のホームを降り立った3人の弁護士は大智に旅行鞄を持たせると金沢駅の鼓門(つづみもん)の下で記念撮影を始めた。 「鼓ってあれだろ、芸者の鼓なんだろ」 「よく知ってるな」 「るるぶ買ったんだ」 「どんだけ楽しみにしてんだよ」  大智は吉高と紗央里の不倫行為を有罪にすべく東京の佐倉法律事務所の同僚を金沢市に招いた。3人の名前は瀬尾(せお)辰巳(たつみ)島崎(しまざき)と言った。当初は渋っていたが明穂の画像を見せた途端俄然(がぜん)やる気になった。 「あんな可愛らしい子を泣かせるなんて言語道断だ」 「おまえ、乗り気じゃなかったろ」 「案件による」 「なんだよそりゃ」  今回は吉高や紗央里が言い逃れ出来ない様に3箇所同時進行での断罪を考えた。決行日は3日後、明日は約束の金沢観光だこれは致し方無い。 「俺と瀬尾は金沢大学だ」 「辰巳は吉高の慰謝料請求」 「島崎は紗央里の慰謝料請求」  瀬尾が不思議そうな顔をした。 「なんで大学に行く必要があるんだ」 「お偉いさんたちが大集合のがあるんだよ」
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